O157やO111は牛の腸の中に普通にいる大腸菌だと言う話です。
だからとさつ場で解体中に肉に感染することが多いのだとか。
でも、お腹の中にO157がたくさんいても牛はどうして平気にしてるんでしょうか?
実は、O157が産生する毒素の「ベロ毒素」というものは、毒として働く細胞が決まっているのです。
例えば人や猿の腎臓の細胞や血管の細胞には毒がくっつく受容体がたくさん出ています。
だから溶血性尿毒症症候群(HUS)になっちゃうんです。
同じように腸管上皮細胞にも毒素がくっつく受容体が出ているから、
人間の腸は毒素にやられて粘膜がはがれて血便出ちゃうんですね。
でも、牛の腸や腎臓の細胞や血管の細胞には
ベロ毒素の受容体がほとんど出ていないか、わずかにしか出ていないんです。
だからO157がいくら毒素を産生しても平気なんです。
結果的に、腸の内容物や、排せつ物が付いているあたりにはO157やO111がたくさんついていてもおかしくありません。
肉だけを切り取るならば安全ですが、解体するときにホルモンもとったり、洗ってる水の飛沫が跳ねたりしますよね。
そういうときに、赤身肉に溶血性大腸菌感染が起こってしまったりするのです。
ヒトと動物には共通の感染症もあれば、それぞれにしか影響を及ぼさない感染症もあると言うことです。